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恋愛、はじめまして

恋愛、はじめまして

このまま、何事もなく学生生活が終わるんだろうなと、思っていた。

意味もなく一番に教室に着いて、ぼんやりと授業を聞き流し、
放課後は早く帰宅することを生き甲斐に、誰とも話すことなく一日を終える。
なにか起これ〜と、天に願ってみることはあれど、俺の青春はとっくに終わっていたのだ。

「私はきらりんハッピー天使ちゃん! 幸せで溢れる世の中にしたいの!」

そんな俺の元に、ものすごく胡散臭い天使が桜の花びらと共に舞い降りた。

「君が本当に天使なら、俺を幸せにしてくれ」

「なにそれプロポーズ? 自分から幸せになろうとしない人間は救えないよ、さすがの私でも」

「幸せって……なんだろうな」

「それはほら、やっぱ恋じゃね?」

「恋、か」

誰かを好きになったことも、なられたこともない。
そんな俺に、恋ができたのなら。
確かにハッピーな青春が今からでも送れるのかもしれない。

「さあこの天使ちゃんが祝福してあげよう、君が主人公になれるその日までね」

どうやらこれは俺が“主人公”になるまでの、物語────らしい。

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